いてつく貴重な時間

sleephead2007-10-28



中学生の運転する車は必ず電柱に激突、中国の重犯罪者は大抵死刑。…おっと。おっと、これはどうもどうも。『あなたも危ない?鬱病チェックシート』みたいなものを入力すると未だ漏れなく「鬱」と診断される俺ですw。どうもです。お久しぶりです。秋ですね。秋ですよね。節度ある暮らしをしていたせいか、私の体調もたいぶ良くなって参りました。いいえ。だいぶというか、時には結構絶好調でありまして、先日などは就寝するための消灯をした際、気分が妙に高揚してしまって、危うく大声でPUFFYを独唱しようとしたところでした。あぶねー
猪のような夏が過ぎ去り、過ごしやすい秋の季節が訪れ、朝晩の冷え込みがまだ心地良い程度に冬の兆しを感じさせる今日この頃ですが、皆様におかれましてはさぞかし華やかな時間を過ごされていたに違いないと睨んでいますが、羨ましくなくなくなくないのですが、私はというと…、石版を集めておりました。ドラゴンクエストⅦであります。神話の勉強をする間、ふと思いついたのです。日本人にとって最も身近な神話はドラクエでしょ、と。そういうわけで久しぶりにコントローラを握りました。ぼうけんのしょを作りました。失われた世界を再生する冒険です。実際にやってみると、やはりこれはとっても素晴らしいのです。人々の愛と欺瞞、神々の知恵、悪の強大な力。時間と運命のカラクリを巧妙に演出し、何とも心に引っ掛かる寓話の寓話であるところの醍醐味。ドラクエらしさ爆発です^^。エキストラにまで設定されたキレのある台詞。素晴らしいですよね。魔王への長い道のりの間、実にたくさんの泣き笑い、真実への手綱というべきものをみたような気がしました。ゲーム性抜きにしても名著の域だと思います。ほりいうちゅうじん・・・いや、ほりいゆうじは凄い。天才です。ドラクエは最高です。勉強になります。やってよかったです。石版集めも、捨てたものではありません。
さてさて、そのようにして感心しながら私は経験を積み、長い長いシナリオを進めて遂に、残すは魔王のみという段になりました。人々は言います。早く魔王を倒してくれ、と。そうはいってもこれはあくまでゲーム。魔王が攻めてくるわけではありません。すぐに魔王とは闘わず、レベルアップに取り組みました。魔王を完封するためです。私は仙水忍の名言の如く、魔王に完勝することが、RPGをやる上での楽しみなのです。その為には労力は惜しみません。めんどくさくても負けません。攻略サイトで見たレベル上げ地点で「くちぶえ」ふいて闘いの連続。呼び寄せられるスライム相手に「岩石落とし」「岩石落とし」。頻繁に現れるはぐれメタルキングスライム。地味な作業ですが、これも魔王を平伏すくらいに圧倒する為、レベルを上げる為。強いては自分の為!・・・と、私は自分を信じ、技を磨きました。どれだけのホイミスライムを倒したことでしょうか。武器は揃いました。技も覚えました。カジノにも行きました。メダルだって集めました。全てがうまくいきました。敵対するものなどいないくらい、私は強くなりました。しかし、いよいよ魔王討伐が頭をチラつくようになったある時、私は雨のような脱力に襲われました。なんなんでしょう、あれは。強くなっていく満足感、決戦が近いという緊張感、それとは意を異にする感覚です。会社から帰って寝るまでの限られた時間にいそいそと進めていたこれまでには、気付くことのなかった感覚です。魔王って、、、なんだ? それを倒す必要は、あるんだろうか? 世界を救うってどういうことだ? だって精霊によって全ての町は復活していて、人々は魔王の脅威に震えていますが、空は明るく、さしあたってトラブルもありません。このうえ事を起こす必要は、あるんでしょうか。先にも述べましたが、魔王は攻めてはこないのです。いや、そもそも平和なフィッシュベルの町から出る必要すら無かったのでは? あれ? 私はこれまでの道程を遡りました。ドラクエそのもの、そしてそれをプレイしてきた私のことも。。ここまで全てのシナリオが逆説的で痛切だったドラクエ。考えてみれば、『魔王を倒す』という最大の命題にのみ、幼稚さが残されています。魔王は本当に悪い奴だろうか。ならば、レベルアップの為だけにHPがたった3しかないスライムを何千匹も殺し続ける、時にはイオナズンや「死の踊り」すら使う私は? そこに行き当たると、この拡げられた世界が歪んで見え始めました。レベル上げも急につまらなくなってきました。相手はコンピュータなら自分もコンピュータ。そしてそれでもただひたすら、取り憑かれたように連日レベル上げをする私。殺し続ける私。何の為、ただ自分の為だけのこと? 魔王の為? ゲームなのに・・・・・・? そう、私が明確に感じたのは他でもない「虚しさ」だったのでした…
もちろん戦うほどにレヴェルは、上がります。強くなれます。ゲームですから。習得した技は幾重にもなりました。どんなやつでもいちころです。金も余るくらいに増えました。なんでも買えます。やることが山積だったころはそういう積み重ねが幸せでした。しかし、次々と現れる敵や人、新しい町での宝荒らしから解放された私は、荒涼とした3Dポリゴンに向けて、今更ながら考えることになったのです。初めて自由のようなものを手にして省みる内面、そこに向けられた空虚さ。なんなんでしょうか、これは。。何やら薄ら寒いものを感じます。あるのはただ、魔王を倒すことで全てを失うかもしれない自分自身への不安なのかもしれません。後戻りを出来ない状況を固めてしまった自分自身への嫌悪かもしれません。皮肉なものです。自ら積み上げた豊かさが真実を映し出し、闘いの勇者として歩んできた道を薄暗く照らすことになるなんて。神話研究家の河合隼雄氏が発した疑問、「何故、物質的安全と豊かさを手にした私達日本人が、辛いと感じたり、凶悪な事件を起こしたり、自殺したりするのだろうか?」嗚呼。。まさに私のこの状況こそが、現代人の磨り減った心の状態そのものであるかのように感じました。疑問の答えをみずからのぼうけんのしょにも見たような気がしたのです。そもそも私自身、ゲームの電源つけてスライム虐めてていい状況だったでしょうか。違います。じゃあ魔王とは? 気付けばレベルは50を超え、55を超え、どう考えても闘ったら楽勝です。この状態で人畜無害の魔王を倒しに行くということもまた、虐めにも・悪そのものにも似ています。スライムを片手間に殺すのと大して変わらないのです。世界を壊すことと変わらんのです。本当にこれが、私が本心から望んだ状況だったでしょうか。こんなことの為にドラクエをやったんでしょうか。魔王と闘う意味があるとしても、その死闘における切磋琢磨こそ、目的であるのではないでしょうか? その為に力と技は、あったのではないでしょうか? スライムと助け合うことは、中盤以降のドラクエの大きなテーマだった筈なのに。そして何より重要なことに、私はこの状況に気付いたところで今更何一つ変えることは出来なくなってしまっているのです。奢り、攻略サイトを見るというズルまでして、力を落とすことも出来ません。ここまでやって、魔王と闘わないわけにもいきません。楽園を追われた我らが始祖アダムとイヴ、命を繋ぎ、技術を高めて数千年、辿り着いたのはこんなヘドロの沼みたいな場所だったのでしょうか? ならばゲームをする自分自身の目標とは? 情けないことです。貴重な時間を費やして身を削られて、魔王どころか、自分が何なのかもわからなくなってしまいました。魔王への長い道のり、それをダラダラと思い出したりしながら思うのです。魔王を倒すと平和になるなんていう欺瞞に操られる私達。そうでもないと津波のような「自由」に溺れてしまう私達。現実をほったらかして、攻略サイト片手に何かしたような気分で一時だけの充足を得る私達。ああ無情。積み重ねた貴重な時間ごと、魔王と闘わずして「いてつく波動」で吹き飛ばされた気分です。せめて、さっさと倒して終えるべきだったと考えます。現実に、対処すべき問題は山積みなんですから。。なにかが間違っていたんです、或いは全てが。労力をつぎ込み、これでもかと鍛錬することは、人が、その内側に持ち合わせる素晴らしい力に違いないのだけれども、ただ闇雲に力をつけようとする自分こそ、あぶねーのです。神話から真実へ迫ろうとする道すがら、結局私がしていたのは暗がりの中でPUFFYを独唱するのと同じ事だったのです。いみじくもストーリーの中での復活させられた神は、魔王が演じたものでした。偽りの神にかまける人民の台詞を俯瞰したつもりでいた私も、実は彼らのすぐ近くの外縁に縛り付けられていただけのことではないでしょうか。たかがゲーム、そう言いながら、想い通りに弄ばれてしまったいたのではないでしょうか。ほりいうちゅ・・・いや、ほりいゆうじ氏は、主人公が解き明かすべき最後の欺瞞を、かくして魔王に象徴させていたのではないでしょうか? それこそが、ドラクエⅦから受け取れる最大にして禁断の摂理だったのではないでしょうか? ならば私は何を費やし、何を失い、一体何を得たのでしょうか。。石版ばかり集めていては、いけないものかもしれません。よくないのかもしれません。
ゲームはゲーム。プレイする自分自身の問題を解決するのは魔王でもPUFFYでもなければ、当然ぱふぱふでもない筈です。しかし、一旦のめり込んだら最後、核を持ってしまった間抜けな人類のように、私にもまた、自分を止めることが出来ません。原罪を知りながら罪を犯し、愛を訴える欲深き人間の一部である私は、どうしていけばいいんでしょうか? 勉強と自らにも偽った悪趣味な遊びの為に貴重な時間をこれからも無駄にしていくんでしょうか? 誰か、私の狂気を生き延びる道を教えて頂きたいものです。この年になって、虚構の世界で道を失っておるというわけなのです。これではなにがなんだか解りません。前が見えません。どうしていいのか解らんのです…!



 限りある 貴重な時間に メタル斬り


 でも魔王を倒す? ・・・・・・ファイナルアンサー?



 メラゾーマ 撃った先には マホカンタ



 ゲームと人生 さあどっち!?





 油断した ぼうけんのしょまで 凍てついた
     歌って踊って ぱふぱふぱふ



はぁ〜すいません(´`)
なんかもう自暴自棄なって詠んじゃってましたー


そりでは。。

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